2025年の幕が開けた。21世紀に入って四半世紀、昭和で数えれば1世紀。それぞれの間、大きな環境変化が何度も訪れたものの、今日まで住宅・不動産業は力強く存続している。改めて先人たちの不断の努力に頭が下がる。
▼もちろん、現在とて安穏な時代ではない。環境の変化は加速度的に勢いを増し、懸念材料は次々と現れる。目下の課題を見渡すだけでも、「少子高齢化・人口減少」「DX」「物価・人件費上昇」「環境配慮」「金利・為替変動」など、一筋縄ではいかない項目ばかりだ。業界の一部からは、今年の展望について「あまり明るいビジョンを描けない」との声も漏れ聞こえる。
▼とはいえ、過度な悲観論も事業の歩みを鈍らせる。例えばDXなら、対応のノウハウや労力、コストに注目しがちだが、それがもたらすポジティブな効果こそが重要だ。間接的には、環境配慮は持続可能な国土の維持、賃金上昇は顧客の購買力にもつながる。人口減でさえ、「効率的なインフラ更新や適切な人口密度の都市計画に移行し、暮らしの豊かさ向上につなげられる可能性もある」(中央官庁幹部)との見方も可能だ。
▼事業に慎重さは必要だが、物事は大概、表裏両面あるものだ。1年の初めこそ、あえて先行きを楽観的に見るように意識してはいかがか。そうしたポジティブなエネルギーを持つ企業こそ、次の25年も生き残り成長を遂げるのではないだろうか。