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彼方の空 住宅評論家 本多信博 ◇171 第44回不動産女性塾 平林良仁氏が講演 「運を良くする十カ条」

 3月25日に開かれた第44回「不動産女性塾」セミナーはキャピタル・アドバイザリー会長の平林良仁氏による講演「運を良くする十カ条」だった。塾長の北澤艶子氏はこの日の講演をいつにもまして熱心に聞いた。

 というのも北澤氏自身、常々「自分は生まれたときから運がいい」と思っているだけに「運とは何か」ということへの関心が人一倍強いからである。「運」とは何か、その正体は不明だ。たまたま商売が成功したり、理想の相手と結婚できたりすれば自分は「運がいい」と思うだけのことかもしれない。

 しかし平林氏は「運には公式(コツ)がある」という。例えば、「人生に明確な目標をもつ」「毎日の健康に努力する」「感動し、感謝を忘れない」「明るく、元気に、さわやかに生きる」などだ。ちなみに筆者は十カ条の中では「気を知り、気を遣い、気を配る」という言葉に強く引かれた。

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 平林氏の講演は人生の示唆に富んでいた。「10分の1といわれる顕在意識ではなく、10分の9もある潜在意識に作用するぐらい『自分は運がいい』と勝手に思い込む。勝手な思い込みが強い人ほど成功する」「左脳と右脳のバランスが大事」「人財とは気持ち良くコミュニケーションする能力のこと」など興味深い。

 そして、おそらく北澤氏が最も深く感銘したのは「社員の人間的成長が会社の成長につながる」という言葉だったのではないだろうか。社員への愛をもって生きることが運を引き寄せる大事なコツだと北澤氏は常々思ってきたが、そうした信条にぴたりと重なる言葉だったからだ。

 平林氏によれば北澤氏とは長い付き合いだというが、生き方も似ていると思う。〝明るく、元気に、さわやかに〟生きている人は多くの人を引き付ける力を持つ。だから仕事にも人生にも成功する。両氏はそこが似ている。平林氏は講演で「経営なんてそんなに難しくない」と何度も強調した。企業も結局は人間の集団なのだから、「人生を幸せに生きるコツを社員に伝えるのがリーダーの仕事」(平林氏)ということだろう。

天命を知る

 「僕は120歳まで生きるつもりで、それまでにやりたいことをすべて書き上げている。書くことが大事だし、それを人前で口に出すことも大事」。人生に明確な目標を持てば、やるべきことが見えてくる。そして平林氏はこう続ける。

 「しかし、人生は何が起きるかわからない。120歳まで生きると決めてはいるが、もし残りの人生(命)と引き換えてでもやるべきこと(天命)が見つかればそれに勝る幸せはない」

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 まさに人生の奥義を知ることは楽しい。人生の本質は今何歳かではなく、今何をしようとしているかだろう。平林氏は現在、富士山の環境問題、噴火対策として山梨県が提唱する五合目までの登山鉄道「富士トラム」の実現に向け努力している。富士トラムはゴムの車輪で地面に埋めた磁気マークもしくは白線に沿って走行するので「路面電車」と同じ軌道法が適用可能。リニア新幹線の新駅とつなぐ構想もある。「自分の利益ではなく、社会の利益を考え行動する」ことも運を引き寄せるコツの一つだという。

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 平林良仁氏・プロフィール

 1948年長野県生まれ。2月23日(フジサンの日)生まれ。78年、30歳で(株)グリーン・ボックスを設立。35歳で船井総合研究所の経営コンサルを受け、船井幸雄氏と運命的な出逢いをする。数年間船井幸雄氏の指導を受け、91年に船井総合研究所、東京海上、日本生命、三菱銀行などから出資を受け(株)船井財産コンサルタンツを資本金1億円で設立、代表取締役社長に就任。2004年、創業14年で上場を果たす。08年60歳で退任。19年、富士山登山鉄道プロジェクト検討委員会理事に就任。(平林良仁公式サイトより)