TRUSTDOCK(東京都千代田区)は、OpenIDファウンデーション・ジャパン(東京都千代田区)がデジタル庁などの協力を得て策定した「民間事業者向けデジタル本人確認ガイドライン」を解説するセミナーを開催し、ウェブで配信した。本人確認では、オンラインの方法による「eKYC」や、対面でのデジタル機器を使う場面が広がるものの、業界横断的な指針がこれまでなかった。民間事業者がこれらの「デジタル本人確認」を使う際の「ガイドブック」となるように、同ガイドラインを策定した。
同ガイドラインはOpenIDファウンデーション・ジャパンに参画する企業のうち、有志が集まり、TRUSTDOCKをリーダー、NTTドコモ(東京都千代田区)をサブリーダーとし、携帯電話キャリア事業者やクレジットカード事業者などが参加して計10社が官民連携で策定した。本人確認に関しては、行政上のガイドラインや犯罪収益移転防止法などの法令があるが、同ガイドラインでは、本人確認を義務化されていない民間事業者でもスムーズに、的確に本人確認を採用できるように必要な基礎知識や本人確認手法の特徴や留意点、最新動向などで構成している。
当日のセミナーで、TRUSTDOCK・Public Affairs室長の神谷英亮氏は、「法令で本人確認を要請されていない、例えば、シェアリングエコノミー事業者や民泊事業者、家事代行事業者などがデジタル本人確認を導入する際の手引き書になる。業界団体などが指針を策定する際の参考資料にもなる。既に先行事例として、コンビニエンスストアなどが加盟する日本フランチャイズチェーン協定で採用されており、酒類やタバコ販売時の年齢確認に際してのガイドラインで使われている。なりすましなどの不正を防ぐ意味合いもあるが、的確な本人確認を実施することで、エンドユーザーである一般消費者が何度も確認を求められる手間がなくなり、各種サービスの利用時の利便性が向上する。法令の要請されていなくても、自主的に使ってもらえるように今回のガイドラインを普及させたい」と説明した。