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東日本大震災、地震保険が消費を下支え 内閣府の「年次経済財政報告」で

  内閣府の「2012年度年次経済財政報告」によると、東日本大震災の被災3県(宮城県、福島県、岩手県)で地震保険加入者と未加入者を比べた場合、前者の消費活動の方が後者よりも大きくなっていることが分かった。家屋と共に損壊した耐久消費財などを購入したものと見られるが、同報告では、「地震保険による保険金が家屋の修理に有効的に活用されたケースが多かったようだ。大震災の被害が大きかった世帯で消費、貯蓄に大きな影響を受けたものの、保険を活用してその被害を少なくしている面もある」と分析している。

 調査では、家屋の損害程度を「全壊、全焼」「半壊、半焼」「一部損壊、焼失」「被害なし」の4段階に分け、それぞれ地震保険加入者と未加入者に消費動向について聞いたところ、各段階とも保険加入者の方が「消費増加」と答えた割合が高くなった。たとえば、「半壊、半焼」の場合、未加入者の「増加」の回答割合は27%だったのに対し、加入者は37%に上った。「全壊、全焼」だと、未加入者の33%に対して加入者は65%に大きく増加する結果となった。

 この結果について同報告では、「地震保険は一定の役割を果たしている」としつつも、地震保険は被災者の生活安定への寄与が目的で、火災保険の保険金額の30~50%の範囲内で設定されていることを指摘し、「全額補償されている世帯は少なく、必ずしもすべての損失を補てんできているわけではない」としている。