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DXはスモールスタートで成功体験を エイトレッド・ヤンマー建機

 エイトレッド(東京都渋谷区)は、セミナー「DXで全社的な効果を出すために必要な3つのポイントとは」をオンラインで開催し、ヤンマー建機(福岡県筑後市)の担当者をゲストに迎え、DXの推進プロセスや効果を全社的に波及させるためのポイントなどを解説した。

 エイトレッドマーケティング部マーケティング・アライアンスグループグループ長の黒田純平氏は、「DXは単なるシステム導入やデジタル化ではなく、ビジネスモデル自体の変革が最も重要となる。企業のDX推進担当者は、限定的な効果ではなく、全社的に効果が波及するDXの取り組みが求められている。そのため、全員参加の草の根DXがポイントとなり、その仕組みを意識する必要がある。ただ、現状では、部署ごとに複数のシステムが乱立し、当事者意識の薄さからトップダウンでDXに取り組み、成果に焦ってしまっている状況が少なくない」と指摘した。

 そこで、DXの取り組みの1つとして、「すべての業務工程を一気にデジタル化に移行する必要はない。全員が必ず使う工程、例えば申請や承認に関わるワークフローをデジタル化する。全員参加のために当事者意識が芽生え、改善の意見も出やすくなる。ワークフローは意思決定の大事な工程であり、経営自体の改善にもなる」と解説した。

 エイトレッドが提供している大規模・中規模企業向けワークフロー「AgileWorks」(アジャイルワークス)を日々の業務で活用している、ヤンマー建機グローバルDXマネージャーの田中重信氏は、「これまでの業務では、表計算ソフトを多用してその入力や集計作業に膨大な時間を要していたために、本来は最も大事な分析の時間をつくりづらかった。

 また、表計算ソフトで集計したこと自体に満足する従業員もいて、データ活用を進められなかった。そこで、最新のBI(ビジネスインテリジェンス)ツールを導入したことで、全社で分散していた情報データを容易に集約しやすくして効率化することで、分析する時間を創出した。表計算ソフトから脱却する人たちを巻き込み、ほかの部署とも連携しながらDXを推進する仲間として共通認識を持つ仕組みや環境づくりが大事だと感じた。そこで、DX推進グループを部署横断的に設置し、小さなことから成功体験を得て成長するスモールスタートで始めた。

 現状の業務を大きく変えない、例えば、使う書式をそのままにこれをデジタル処理できるようにすることで、抵抗感なく業務のデジタル移行ができている。関わる社員が増え、自分ごととしての当事者意識となり、新たなアイデアも生まれるなど、働くモチベーションの向上にもつながっている」と、自社でのDXの取り組みを紹介した。