国土交通省が11月1日に発表した「上下水道施設の耐震化状況の緊急点検」結果(23年度末時点)によると、国民の安全・安心や行政機能の維持等に不可欠な「重要施設」において、接続する水道(上水道)・下水道双方の管路等が耐震化されている施設の割合は、約15%と低い水準であることが分かった。今回の点検は「令和6年能登半島地震」の教訓を踏まえ、重要施設や、上下水道システムにおける「急所施設」の耐震化状況について行ったもの。
同点検結果の詳細を見ると、災害拠点病院や避難所、警察、消防、県・市庁舎などの「重要施設」に接続する管路等の耐震化率は、水道管路が約39%、下水道管路が約51%、汚水ポンプ場が約44%。このうち、水道・下水道双方とも耐震化されている施設については約15%となっている。
また、取水施設や浄水施設、下水処理場など、当該施設が機能を失うと上下水道システム全体が機能不全に陥る最重要施設「急所施設」における耐震化率を見ると、水道システムでは取水施設が約46%、導水管が約34%、浄水施設が約43%、送水管が約47%、配水池が約67%。下水道システムでは、下水処理場が約48%、下水道管路が約72%、ポンプ場が約46%となっており、いずれも約3~7割程度と不十分な水準にとどまっている実態が明らかになった。
同省は今回の結果を踏まえ、全ての水道事業者や下水道管理者等に対して「上下水道耐震化計画」の策定を要請しており、その計画の支援を通じ、上下水道施設の耐震化を計画的・集中的に進めていく方針だ。
(画像) 今回の上下水道施設の耐震化状況の緊急点検結果概要(国交省公表資料より抜粋)