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記者が解説 住宅新報web週刊ニュース記事(2025/04/08〜2025/04/14)

Pick Up!

  • 投資用不動産関連専用の特別相談窓口
  • 品川駅周辺30階以上15年ぶり響
  • 人工衛星開発とデータセンター

 1週間のランキング・トップ10から記者が気になる記事をピックアップします。まず注目したいのが、4位の「投資用不動産関連専用の特別相談窓口を新たに設置 東京都(2025/4/10配信)」になります。投資用不動産はトラブルが昔から多く、特に近年では、女性専用シェアハウス「かぼちゃの馬車」事件を巡って不動産会社と銀行が〝タッグを組み〟不正を働いていたことが明るみに出たことは読者皆さんの記憶には深く刻まれていると思います。老後資金2000万円問題を受けて不動産投資に参入する若年層のサラリーマン投資家も増加しました。重要事項説明のIT化も進み、投資用物件の売買では、現地を見ずにオンラインのみで取引するケースが多くなっています。

 そうした中で、東京都は4月7日に住宅政策本部民間住宅部不動産業課内に「投資用不動産特別相談窓口」を設置しました。窓口では、投資用不動産に関するトラブルや相談について、都消費生活総合センターとも連携しながら電話、メール、来所で受け付けています。法律的な見解を要する場合には、不動産取引に知見を持つ弁護士の無料相談も紹介します。

 行政のこうした対応のみならず、住宅・不動産業界としても消費者の困りごとに真摯に対応することが、業界の社会的地位の向上につながるはずです。

 次に注目するのが、7位の「品川駅周辺30階以上15年ぶり 日鉄興和など 倍率139倍(2025/4/8号)」です。品川は今、ホットスポットです。先日、3月27日にはJR東日本が品川⾞両基地跡地で進めていた国内最⼤規模の開発プロジェクト「TAKANAWA GATEWAY CITY」のまちびらきが行われました。東京都内では各所で大型の再開発事業が競うように進められていますが、品川もその一つ。東京が国際競争力を持つ都市になる一翼を担っています。その地であるだけに今回、日鉄興和不動産などが手掛けたタワーマンション「リビオタワー品川」(総戸数815戸)が注目を浴びたのは必然であると感じます。第1期1次販売では、最高価格5億円超を含む221戸が登録申し込みされ、平均倍率12.3倍、最高倍率が139倍となりました。今後の販売についても高倍率が想定されるところです。

 最後に取り上げるのが、5位の「同志社大多々羅キャンパス跡 人工衛星開発とデータセンター カゴヤ(2025/4/8配信)」になります。データセンター開発のカゴヤ・アセットマネジメント(京都府)が、同志社大学多々羅キャンパス跡地で同社保有の約13ヘクタールを活用するものです。人工衛星関連の開発拠点とデータセンターを軸に美術館や音楽ホールを備えた文化施設を併設します。2027年から順次に運用を開始し、2030年中の全体完成を目指すとしています。

 人工衛星とデータセンターは共に今後の中核事業として期待されているもので、主要国の間で宇宙は新たな開拓地として民間による人工衛星開発が活発になっています。人工知能(AI)の進展に伴いデータセンターの開発も急がれます。住宅・不動産業界としては、伝統的な不動産開発にとどまらず、大手不動産会社がさまざまな社会インフラ整備に乗り出しています。

 折しも総務省は4月14日、昨年10月1日時点の人口推計を発表しましたが、日本人の人口減は1950年以降で最大の落ち込みとなりました。外国人を含む総人口でも14年連続で減少し、住宅・不動産業界の内需が縮小することは想定済みです。新たな収益源として社会インフラに目を向ける傾向が強まりそうです。

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