政策

東京都 30年「カーボンハーフ」実現へ 太陽光設置基準に配慮要望も 住団連、不動協など意見表明

 東京都環境審議会は1月26日、30年までに温室効果ガスの排出量50%削減を目指す「カーボンハーフ」(今週のことば)の実現に向けた第3回検討会を開催した。これまで議論されてきた「一定の中小新築建築物へ太陽光発電設備の設置を義務付ける制度」や「建築物環境計画書制度」などの対象事業者が意見表明した。

 意見表明するのは14団体。今回はこのうちFoE Japan、住宅生産団体連合会(住団連)、ZEH推進協議会、太陽光発電協会、東京都建築士事務所協会、不動産協会(不動協)、LIXIL TEPCOスマートパートナーズの7団体が意見表明した。いずれの団体も中小規模建築物へ太陽光発電設備の設置を義務付ける新制度に関して言及。取り組みの方向性に理解を示しつつも、慎重な体制整備や義務化の例外規定など柔軟な措置を求める声が目立った。

 具体的には、住団連が新制度の対象者や体制・措置に関する課題を指摘した。個人が所有者となる新築戸建て住宅や賃貸アパートへの再エネ設置については、規制的措置ではなく助成的措置による推進が望ましいとし、規制的措置とする場合にも、建築主または住宅購入者に対して都がサポートする体制・措置の必要性を強調。加えて、太陽光発電設備の設置率については業態による差、ハウスメーカー等と一般工務店との差、販売エリアによる差などがあるとし、これらを考慮した基準設定が必要であると指摘した。

 不動協は、基準強化に伴う準備期間の確保や手続きの簡略化、周知啓発、支援拡充などが不可欠とした上で、事業者の取り組みが明確・公平に評価される制度設計を要望した。中小規模建築物における新制度に関しては、再エネ設置義務量は都市型戸建て、ペンシルビルなど、設置可能率が極小な建物属性に考慮する必要があるとし、業務履行のための手段・評価の柔軟化を求めた。また、「建築物環境計画書制度」に関しては、国の政策との時期・基準の整合を図りながら省エネ性能基準の強化を進めることや再エネ設置の最低基準の新設などを要望。省エネ計算上の未評価技術やコスト負担等の課題に触れ、基準の一律引き上げは慎重に検討すべきとした。

 委員からは、「脱炭素という全体目的があっての省エネや再エネだ。太陽光発電設備の設置義務化が突出することがないよう将来ビジョンを明確に示すことが重要」や「中小事業者向けの周知徹底や、インセンティブを含めた進め方のフォローが必要」などの意見が出された。