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記者が解説 住宅新報web週刊ニュース記事(2月25日~3月3日)

Pick Up!

  • 住友不、ユニ・チャームと協力し紙おむつ再生品導入と環境啓発
  • 既存住宅市場での新規登録で〝築古〟物件の割合が増加
  • 野村不が「コリビング賃貸」事業参入、新規需要開拓狙う

 1週間のランキング・トップ10から記者が気になる記事を3つピックアップしていきます。

 まずは大手ディベロッパーのユニークな試みとして、1位の「住友不など、使用済み紙おむつをトイレットペーパーに導入(2025/2/27配信)」をご紹介します。住友不動産と、衛生・ベビー用品等の大手メーカーであるユニ・チャームが協力し、使用済み紙おむつのリサイクル製品を活用して環境啓発を図る取り組みです。導入先はユニ・チャームの本社が入居する「住友不動産東京三田ガーデンタワー」で、同様の試みは都内初とのこと。高齢化社会の進行により今後も増加が見込まれる、大人向け(大型)紙おむつの再資源化は、環境省や東京都を始めとした各自治体でも近年推進している分野です。そのリサイクル製品を通じた意識の啓発に当たって、多くの人の集う「場」を提供することは、不動産会社だからこそ出来る有意義な取り組みと言えるでしょう。

 次はマーケット情報から、4位の「レインズ調べ、築年別中古住宅、10年以内のマンションは7千万円台(2025/2/25配信)」です。24年の首都圏における中古マンション・戸建て住宅について、築年数別に成約価格等の動向をまとめた記事です。見出しの通り、築10年以内のマンションの成約価格は平均で7000万円台。前年は、7000万円台に乗せたのは「築5年以内」までだったほか、1平方メートル当たりの平均単価などを見ても、〝築浅〟物件の価格上昇傾向と、その背景にあるニーズの高さが改めて示された結果です。他方、中古マンションでは新規登録物件の平均築年数が初めて30年を超え、新規登録・成約の双方で築40年超物件の割合が高まっています。また中古戸建てでも、成約物件の中で築40年超物件の比率が拡大。〝築浅〟物件へのニーズの高さと同時に、市場では新規登録・成約のいずれにおいても〝築古〟物件も存在感を増している様子です。

 最後に、今回のトップ10では唯一紙面記事からランクインした「野村不動産 コリビング賃貸初弾 一人暮らしの選択肢に(2025/2/25号)」です。コロナ禍以降、大手ディベロッパーによるチャレンジが広がっている「コリビング」。コワーキングスペースとシェアハウスの特徴を兼ね備え、新たな単身者ニーズへの対応を図る賃貸物件です。国内ではまだ比較的珍しい物件タイプの事業に、業界主要企業である野村不が参入したということから、読者の関心が高かった様子です。共用部の充実化や入居者コミュニティ運営などにより、賃料以外の部分で訴求力を高めている点が同物件の特徴と言えます。

 なお、記事中では触れていませんが、同社はコリビング事業について、「おおむね総戸数100戸超を目安とした大型賃貸物件」を開発していく方針を表明しています。一定以上のスケールを確保することで共用部の充実化やコミュニティマネジメントを可能とし、付加価値を高めて周辺のワンルーム相場と同等の賃料を実現するための規模設定であり、収益性や需要開拓、競合物件との差別化等を目指す同社の事業戦略において重要なポイントとなっています。

 

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