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大言小語 ホヤに学ぶ

 居酒屋定番の酒の肴の一つであるホヤ。「海のパイナップル」と呼ばれ、珍味として好きな人も多いと思うが、個人的にはホヤは苦手だ。ただ、最近は、刺し身以外でも天ぷらやバター焼き、炊き込みご飯など様々な食べ方がある。食べてみたいと思うものもいくつかあったが、こうしたホヤのいろいろな食べ方は、最近ネットで知ることになった。

 ▼ホヤは、国内生産量の8割を占める宮城県の特産海産物だ。かつては韓国など海外へも輸出していたが、9年前の3月11日以降、状況は一変した。東日本大震災前、宮城県産のホヤは韓国への販売量が最も多かった。水揚げ量の7、8割を占めていたとされたが、福島第一原子力発電所の事故を受けて、韓国が宮城県産ホヤの輸入を禁止した。生産過剰となったため、過去には宮城県内の大量のホヤを廃棄処分している。

 ▼こうした中で始めたのが、国内市場の開拓。東京や大阪など大都市に出向き、ホヤのさばき方や食べ方を積極的にアピールしてきた。今でも韓国への禁輸措置は続いるが、国内での流通量は震災前から約2.5倍に伸びた。ホヤが苦手な人のところにも様々なホヤの食べ方が届いたのは、こうした地道な取り組みの成果だろう。

 ▼今、新型コロナウイルス感染拡大で経済も混乱している。不動産業界もその影響は避けられそうにないが、地道な取り組みが困難を克服する最善の手段なのかもしれない。