▼サッカーアジア杯が開催中だ。23年に連勝街道を歩んだ日本代表は、予選リーグ第2戦で黒星。コンディション、監督の采配、勝負運など、複合的な理由が絡み合う勝負の世界に負けはつきものだが、もどかしい試合展開や選手の表情からはチーム力が十分に機能していない状況がうかがえた。11年大会以来のアジア王者奪還に向けて、どのような修正と挑戦ができるか、まさに真価が問われている。
▼振り返れば、23年は日本の様々な企業等の体制に注目が集まる1年だった。自動車メーカーの不正問題をはじめ、芸能界や政界でもある事件を契機に、組織のあり方や事後対応の姿勢が問われた。コンプライアンスや経営の透明性を打ち出すことに意義はある一方、旧態依然とした手法を選び続けるのであれば変革の種は実を結ばない。むしろ歪みとなって表面化する時期が近いかもしれない。
▼スポーツの世界でいえば、組織が目指す一つの姿は、他選手や他チームを戦績で上回りつつ、いかに新陳代謝を図りながら若手を登用し、今後の体制を強化できるか。更に、選手や監督、チーム、ファンと一体となった興行が持続できるか――ということだろうか。持続可能な組織をつくるために何を見て、何を学ぶか。立ち返るべき原点を見失っていないか。言行一致で証明することでしかチームの信頼も世間の信用も獲得することはできないが、まだ試合は続く。頑張れニッポン。