政策

被災事業者の二重ローン問題を解決、「事業者再生支援機構」が支援加速へ

 東日本大震災における事業者の二重債務(ローン)問題への対応を目的に国が設立した「東日本大震災事業者再生支援機構」が、被災事業者支援を加速する。これまで180日程度の日数を要していた審査期間を90日程度に短縮する予定で、支援決定の迅速・円滑性を追求していく方針だ。
 同機構が3月に業務を開始してから約4カ月間で、支援が決定したのは5件。そのほか、支援決定に向けた最終調整を行っているものが51件、具体的な協議に入っているものは86件に上る。製造業、農林水産業を中心に、不動産業者もその中に入っており、これまでは金融機関による柔軟な条件変更や復興計画の進展待ちなどで二重ローン問題が表面化していないケースも多いと考えられていたが、今後は事業再開を本格的に検討するなかで、既存債務が負担となり再スタートを切るための新規資金調達が困難になる場合が増えると判断した。
 同機構は、金融機関が有する被災事業者への既存債権を買い取り、事業再開への手助けを行う。金融機関には、債権を買い取る代わりとして新たな融資を当該事業者へ融通するよう依頼する。債権の買い取りについては、現在のところ5000億円程度の範囲で対応できる状況だという。