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記者が解説 住宅新報web週刊ニュース記事(9月16日~9月22日)

Pick Up!

  • 不動協が千代田区の「転売禁止」要請への考え方示す
  • 業界トレンドを読むシリーズ連載、初回は大手不動産会社の新型賃貸住宅供給
  • トヨタ不が松濤でセットアップオフィス、事業範囲の拡大・強化の一環

 1週間のランキング・トップ10から記者が気になる記事を3つピックアップしていきます。

 まず初めに、今回2位となった「不動産協会 千代田区の転売禁止要請、国交省の調査を待ち対応検討(2025/9/19配信)」をご紹介します。東京都千代田区が7月に発表した、「投機目的のマンション取引防止に向けた取り組みの要請」について、不動協として公の場で改めて示した見解を、当日に配信したレポートです。この要請は一般メディアでも繰り返し報道されており、業界外からも広く注目されている一件。もちろん、当事者である業界内からの関心は一層高く、多くのアクセスを集めました。今回の不動協が表明した考えは、「マンション価格の高騰に対し、投機的取引の影響は限定的」「国交省の実態調査の結果を確認の上で対応する」「転売対策で事業者側に可能な対応は(法的に)限界がある」といった内容。マンション高騰を良しとはせずとも、事業者側に過度の責任や対応を求める動きには疑義を呈した形と言えるでしょう。千代田区による7月の要請発出時も、「不動協、千代田区に説明求める 投機目的での転売抑制要請(2025/7/29号)」として報じていますが、本件に関する動向は今後も継続的にお伝えしていきます。

 次は、紙面記事から8位にランクインした「業界点望(上) 大手不、新型賃貸に続々参入 既存市場への波紋も コンセプト型で〝仮住まい脱却〟(2025/9/16号)」です。不動産業界の中心的な領域を日々取材する記者が、個別事業や特定分野に焦点を当て、現在のトレンドと将来の展望を読み解くシリーズ連載です。第1回である本記事は、大手不動産会社によるコンセプト型賃貸住宅供給の本格化について、事例と分析を掲載しています。個性的な高付加価値型賃貸住宅は、これまでにも多様な物件が供給されてきていますが、基本的には中堅規模の企業が手掛けるケースが中心でした。賃貸住宅に限らず、戸建てや分譲マンションでも、「王道で高品質、重厚長大な大手」と「フットワークと企画力で勝負の中堅・中小」というイメージは、一般的な実態に近い構図と言えるでしょう。そうした中で、大手がコンセプト型賃貸に本格参入する動きは、賃貸住宅市場全体の変化にもつながる興味深いトレンドです。なお、連載第2回の「業界点望(中) 陽が当たる賃貸管理 資産運用・拡大も視野(2025/9/23号)」では賃貸管理領域を取り上げています。ぜひ、こちらも併せてご覧ください。

 最後に取り上げたいのは、6位の「トヨタ不動産 松濤にセットアップオフィス 26年1月に開業(2025/9/16配信)」。トヨタ不が東京都渋谷区松濤で開業予定の「クロスベース渋谷」について、物件概要を紹介した速報記事です。24年12月に取得した旧「デンソー渋谷ビル」を改修し、好立地を生かしたセットアップオフィスへと再生する事業計画で、26年1月の開業を予定しています。トヨタグループのディベロッパーとして、比較的愛知・名古屋圏での事業展開に強みを持つトヨタ不ですが、近年は事業のエリアや領域の拡大を積極化しており、今回の物件も東京エリアにおける事業の強化・拡大推進策の一環と位置付けています。都内を主戦場とするディベロッパーやオフィス仲介業者、ビルオーナー等にとって、やはり気になる動きだった様子がうかがえます。今回ピックアップした3本はいずれも不動産開発分野に関する記事でしたが、同時にランクインした基準地価や法改正関連といったある種の〝定番〟だけでなく、読者の携わっている仕事に直接関係のある分野の記事に、やはり高いニーズがあることを顕著に示すランキング結果となりました。

 

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アクセスランキングトップ10 (2025年9月16日~2025年9月22日)